未経験エンジニアには資格取得がおすすめ

エンジニア育成

MENTAを通して未経験からIT業界への転職を目指す方に数多く接してきた。

目標を叶えた方もいれば、そうでない方もいて、傾向を分析すると、開発以前に現役のエンジニアであれば自然に身についているITやインターネットに関する基本知識、論理的思考の有無が大きい。

理数系の素養があったり、個人で学習してきた場合はいいが、完全ゼロスタートの場合はまずは資格をいくつか取ることを通して、自分に適性があるか確認しつつ基礎を身に付け、その上で特定のプログラミング言語の学習をした方が結局近道だと思うようになった。

IT業界で資格不要論があるが、確かに日進月歩のIT業界では資格の内容は基礎的な内容になるので、知っていることが前提であり、資格自体がキャリアアップにつながることは少ない。

また、弁護士や公認会計士のように資格を持っていないとできない業務はIT分野にはない。

ただしこれは現役の中堅以上のエンジニアには当てはまるが、未経験やキャリアの初期おいては、資格は知識やスキルの証明になり、不足している知識を補うこともできるので、資格を取得するメリットは大きい。

採用する側になってみると、未経験の方の採用は中途と比べて判断する材料がどうしても少なく、率直言ってリスクが大きいので、資格があることで学習する力や基礎知識があることの判断材料になる。

転職においてはまず職務経歴書で判断されるのが現実なので、真っ白な経歴書より資格がある方が見栄えがよいというテクニック的な側面もある。

とはいえ、難易度の高い資格を取る必要はなく、基礎レベルの資格で問題ない。

ただし、プログラミングやコンピューターサイエンスの基礎は理解していないと合格できないので、ゼロスタートの人にとっては難しいかもしれない。

その分、スクールなどで本格的に学ぶ前に、自分に適性があるかどうか、興味を持てるかを判断することができる。

以下で未経験者が転職までに取っておくことをおすすめする資格をリストアップする。

勉強の仕方については、どれも有名な資格なので少し調べればいくらでも教材は出てくるが、参考として有名なものを紹介する。

できれば全て取得することが望ましいが、開発エンジニアとインフラ(クラウド)エンジニア志望で優先度は違うので、最後でまとめる。

基本情報技術者

昔からある国家資格でITエンジニアの登竜門としての位置付け。

プログラミング基礎からアルゴリズムなどコンピューターサイエンスの基礎まで幅広い。

未経験者が実務に入るなら基本情報技術者の内容は押さえておいてほしい所で、スクールなどで現役のエンジニアから学ぶ場合もスムーズ。

以前は1年に春・秋の回しか受験チャンスがなかったが、通年受験可能になったので、取得のハードルも下がった。

必要な情報は以下のサイトでおすすめされている教材や過去問で網羅されている。

基本情報技術者試験ドットコム
基本情報技術者試験の解説No.1を目指すサイト。試験の概要・出題範囲・おすすめのテキストから過去問題の解説まで基本情報技術者に関係している情報を発信しています。わからない疑問・難問があれば掲示板かメールでお気軽にお問い合わせください。

リンクされている午前試験の免除の講座を受けるのもあり。

Oracle認定Javaプログラマ Silver

Java自体は歴史が長い言語で未だにJavaの案件が一番多い。

TypeScript、Swift、Kotlin、Dartなど最近のWebフロントエンドやモバイルアプリ開発で使われる言語はJavaを元になっているので、Javaで基本を押さえておけばこれらの言語を習得することは難しくない。

BronzeとSilverがあるが、それほど難易度は変わらず範囲も被っているので、Silverから取得するのがおすすめだが、時間をかけてじっくり学びたい人はBronze->Silverとステップアップしてもよい。

Oracle Master Silver SQL

Javaと同じOracle社によるデータベースの資格で、データベースを利用するためのSQLを基礎知識を扱っている。

モバイルアプリやWebフロントエンド志望の人であっても、テストやデータ確認でSQLを扱える必要があり、エンジニアであればデータベース、特にSQLは必ず触れることになる。

ネット上には経験者向けの学習記事も多いので、エンジニア未経験から独学で合格した方の記事を参考にするとよい。記事で定番の書籍や動画は網羅されている。

過去の私に伝えたい、Java Silverの勉強法

Javaを動かす環境としては、VS Codeを使うのがおすすめ。

Java15の導入とVSCode環境設定 - Qiita
はじめにVSCodeがインストールされているPCでJavaの開発を行うための環境構築のメモです。VSCodeのインストールがまだの方はこちらからインストールしてください。…

LinuC Leve1

基本的なサーバー管理の方法とコマンドラインを扱う資格。

開発業務ではMacやサーバー上ではコマンドラインを使うので、LinuC Levelの内容はすべてのエンジニアが押さえておきたい。

特にインフラエンジニア志望なら必須。

AWSソリューションアーキテクト-アソシエイト

最近は多くの案件でサーバーにAWSで使われる。

沢山あるAWSの資格の中で、一番基本なのがソリューションアーキテクト-アソシエイト。

インフラエンジニアでなくても、実務でAWSに触れる機会は多く、開発エンジニアでもシステムの構成の理解にはAWSの知識が求められる。

こちらもインフラエンジニア志望なら必須。

最後に開発エンジニア志望、インフラエンジニア志望、それぞれのタイプごとの優先度をまとめる。

開発 インフラ
基本情報
Java Silver
Oracle SQL Silver
LinuC Level1
AWS SAA

◎は転職前にほぼ必須でとっておきたい、◯は余裕があれば転職前に取っておくとより有利、-は不要。

開発エンジニア志望者は、基本情報技術者の選択式のプログラミング言語にはJavaが含まれ、なにか一つ言語が扱えないと具体的なイメージがつきにくいので、Java Silver → 基本情報技術者の順で取得するのがおすすめ。

インフラエンジニア志望者はLinuCで基本を学んでから、AWSの順番。

学習期間はプログラミングの学習が初めての場合、取れる時間にもよるものの、4ヶ月〜半年ほどは見ておいた方がよい(◎の資格のみ)。

趣味や独学などでプログラミングや開発の経験がある場合は、もう少し短くなる可能性もある。

未経験の人で現状資格なしの人も多いので上記の資格を取っているだけでも、条件にこだわりがなければ内定がでることもある。

地方から出られずフルリモート必須、Web開発やモバイルアプリ開発などやりたい分野がある等の場合は、資格をベースにその分野のオリジナルのポートフォリオを作成したり実践的なスキルを身につけることを目的にスクールなどで学ぶ意味が出てくる。

逆に上記の資格で扱うような基本的な知識もないままスクールなどで学んでも、表面的なことしか身につかないまま受講期間終了となってしまうので、あまりおすすめできない。

スクールを選ぶ時は、本や動画で分かる内容どまりではなく、実務に関連する実践的な内容を扱っているか、現役エンジニアからコードレビューやサポートを受けられるかを重視する。

資格無しでの転職の事例も数多くあるが、未経験者のスキルを判断する要素がポートフォリオと面接者の判断になる。面接者が未経験者のスキルを適切に判断するのは難易度が高いので、運要素が高くなったり、突き抜けたものを作成しないと伝わりづらい。

またスキル不足と判断されれば、開発にアサインされない可能性がある。

ここ数年で急激にIT業界の志望者が増えて、スクール難民や経歴詐称、企業側が未経験者採用枠を絞るなど問題が出てきている。

IT業界は懐が広く、(日本では)学歴などが必要ないのが魅力で、自分も大学が情報系出身というわけではないので懐の広さに助けられて今がある。

エンジニア不足の解決は社会的な問題でもあり、引き続き挑戦する人に門戸が開かれた業界であってほしいと思うが、それには応募者側、企業側双方の努力が必要。

不動産の仕事をするなら宅建が必要なように、基本的な知識は資格で担保し、応募者も早い段階で適性があるかどうかを知るのが、現状の一つの解決策になるのではないかと思う。